かつてヨーロッパでは煙突掃除という職業があり、煙突掃除人の親方が、子弟である孤児達をレンガ煙突に潜り込ませてブラシで掃除をさせていました。煙道が30 ㎝前後の狭小であった為に子供が使われ、孤児達には寝床と食事の支給だけで賃金は払わず、つまり昔の日本の下男奉公の様だったのでしょう。しかし煙道に阻まれ窒息死や落下、更に癌を発症する危険性などもあった為に煙突掃除に子供を従事させることを禁じる等の法律が制定され、黒いススで汚れた孤児達は町から消えたとか．．．．．．

　さて、日本の今の煙突内には、ススどころではないアスベストがあり、それを私どもは除去掃除しています。一時期、劣化したアスベストは除去等の処理をするよう政府から通達が出されたことから、煙突からアスベストは一気に無くなるものと思われていましたが、実態はそうではなかったのです。また、学校等公共建築物の露出した吹き付けアスベストは除去が進んだものの、天井裏や壁に覆われている箇所は残されたままであり、更に周辺大気に接している外壁面のアスベスト含有建材はこれから除去処理しなければなりません。建築物等の解体等時期のピークは2030年ごろになると言われている中、全てのアスベスト除去業者が高い湿潤除去工法を用いて作業をしているわけではなく、残念ながら安全性が保たれていないであろう現場を目にすることも多くあるのが現実で、解体工事の増加に伴うアスベストの大気中への飛散も大変懸念されます。

　一般社団法人 Hi-jetアスベスト処理協会は、アスベスト含有建材を超高圧水噴射により高い湿潤下で切削洗浄除去する企業団体で、煙突断熱材除去のHi-jetARC工法®と建築用仕上げ塗材などを除去するHi-jetAAC工法®の2つの研究会が合併したもので、除去時の粉じん飛散は無く周辺環境の保全にも優れた工法です。
当協会はこの超高圧水を有効に利用したHi-jet工法は作業者の安全と環境保全を掲げ、会員同士協力しあいながら全国へ広め、関連法令や処理マニュアル・技術安全講習などの実施とともに、行政機関や設計事務所、建設業者をはじめとして解体業者等へ啓蒙を進め、工法の普及を通して同工法のデファクトスタンダード（事実上の標準）化を目指してまいります。 　勿論、日本におけるアスベストの健康被害の根絶を願い。